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「だから、読み手に伝わらない!」山口拓朗著 を読んで

この本の副題は「もう失敗しない文章コミュニケーションの技術」です。

ブログも文章コミュニケーションの1つであり、”読み手=ブログの読者”ですよね。ブログを始めて2か月目の私は、タイトルを一目見て興味を持ちました。

 

 

著者について

山口 拓朗(やまぐち たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所所長、山口拓朗ライティング塾塾長。

 →文章講師 山口拓朗主宰 伝える力【話す・書く】研究所

 

本の概要

こちらのページの「本書の一部を立ち読みする」から、目次と本文を見ることができます。

 『だから、読み手に伝わらない! もう失敗しない文章コミュニケーションの技術』(山口拓朗著)書籍購入キャンペーン

 

目の前に相手がいない文章コミュニケーションで、以下のような文章を書くノウハウが載っています。

  • 読みやすく分かりやすい
  • 誤解がなく情報が正確に伝わる
  • 失礼でない
  • 相手の欲しい情報が的確に書かれている

 [NG文]と[OK文]があり、どの部分を直したらよいかがひと目でわかります。仕事で使うメールの具体例はプライベートにも応用可能ですよ。

 

心に響いた5つのポイント

  1. とにかく言葉を削る
  2. まずは結論から
  3. 「お叱り」はサンドイッチ話法で
  4. 修飾語の並び3原則
  5. ネガティブ言葉 → ポジティブ言葉

順にご紹介します。

 

1.とにかく言葉を削る

同じ言葉をムダにくり返さない

[NG文]→同じメールマガジンでも、携帯の画面で見るときと、パソコンの画面で見るときとでは、見え方がまるで違う。

(中略)

[OK文1]→同じメールマガジンでも、携帯の画面とパソコンの画面では、見え方がまったく違う。 

[OK文2]→同じメールマガジンでも、携帯とパソコンの画面では、見え方がまったく違う。

同じ言葉が続くと文章がくどく感じますね。[OK文2]はスッキリしており、分かりやすいです。

 

[NG文]→激戦の末のプレゼン敗退に、私はひどく落胆した。見届けていたアドバイザーの小林氏も落胆した。

[OK文]→激戦の末のプレゼン敗退に、私はひどく落胆した。見届けていたアドバイザーの小林氏も、思わず天を仰ぎました

 

 場合によっては、言葉のくり返しを避けるのではなく、OK文のように別の表現に言い換える方法もあります。

別の表現がすぐ出てくるかは、日頃の勉強次第ですね。

 

必要のない言葉遣いを削る

[NG文]→対人交渉力というのは、会社で認められていくためにも、彼自身の将来を考えていくうえでも、極めて重要な能力だと言うことができるでしょう。

[OK文]→対人交渉力は、会社で認められるためにも、彼自身の将来を考えるうえでも、極めて重要な能力だと言えるでしょう。

気を付けているつもりでも、やりがちなミスですね。何度も見直すことで防げそうです。

 

接続詞は取捨選択しよう

 接続詞には、(中略)さまざまな種類があります。

 なかでも重要なのが、クルっと話を反転させる「逆説」です。逆説の接続詞が目に入ると、人は「よし、ここから話が反転するのか」と心の準備ができるのです。

 それに対して、順接をはじめとした接続詞は、省いても意味が通じるものが少なくありません。接続詞を使い過ぎて文章が理屈っぽくなったときは、省ける接続詞がないか検討してみましょう。

 

[NG文]→彼は第一印象がとてもいい。それに、仕事もできる。しかし、酒グセの悪さが気になる。 

[OK文]→彼は第一印象がとてもいい。仕事もできる。しかし、酒グセの悪さが気になる。

今まで私は、順接でも接続詞をつけた方が丁寧な文章になると思っていました。省ける接続詞は省いたほうがよいですね。文章が簡潔になります。

 

余計な情報を書かない

問題なのは、余計な情報を入れることで、大事な要件が伝わりにくくなることです。 

(中略)

[NGメール]→ご返信がたいへん遅くなりました。別件の企画に時間をとられており、また、10月末より2週間ほど香港の見本市視察の出張で不在にしておりました。帰国後も品評会の準備などに追われ、ご提案いただいていた企画を会議にあげる機会を逸しておりました。ようやく3日前の会議に企画をあげましたところ、無事に通過いたしました。つきましては、一度お打合せをお願いできますでしょうか。 

[OKメール]→海外出張に出ており、ご返信がたいへん遅くなりました。ご提案いただいた企画が、無事に社内会議を通過いたしました。つきましては、一度お打合せをお願いできますでしょうか。

(中略)

相手に必要な情報をピンポイントで届けるためにも、「余計な情報を書かない」という意識を徹底しましょう。

メールの相手が忙しかった理由は重要ではありません。相手が欲しい情報のみ伝えることが大切ですね。

 

2.まずは結論から

「結論→理由→詳細」、これが伝わるメールの流れです。おもしろいもので、冒頭で結論が語られていると、その後の理由や詳細も頭に入りやすくなります。なぜなら、結論というのは「全体像」でもあるからです。

(中略) 

[NGメール]→その日は地方出張が入っております。午後から店舗回りをするのですが、終了時間が見えません。帰京時間も遅くなりそうです。せっかくのお誘いですが、今回は欠席いたします。

[OKメール]→せっかくのお誘いですが、今回は欠席いたします。その日は地方出張が入っており、帰京時間が遅くなるためです。

(中略)

相手のニーズ(知りたいこと/ほしがっていること)に応えることは、メールに限らずビジネスの基本です。

結論が先の方が分かりやすいですね。その後の理由や詳細が頭に入りやすいのも納得です。

 

3.「お叱り」はサンドイッチ話法で

相手を叱るときや、思わしくない状況・結果を知らせる際に、事実だけを伝えるのではなく、前後にホメ言葉や前向きな言葉を添えて、文字通りサンドイッチのように挟み込む話法です。会話だけでなく、メールでも十分に使えるテクニックです。

[NGメール]→今回のリポートは、残念ながら物足りません。あきらかにデータ不足。これではA社の協力を取りつけるのは難しいでしょう。作成し直してください。

(中略)

[OKメール]→谷くんの圧倒的な仕事量には常々感心しています。段取りも進行も申し分ありません。ただ、今回のリポートは、残念ながら物足りません。あきらかにデータ不足。これではA社の協力を取りつけるのは難しいでしょう。作成し直してください。この仕事をやり遂げられる人材は君しかいません。期待しています。

これは子育てにも通じますね。子供を叱る時、ただ叱るだけでなく「本当は良い子だということは分かっているよ、次から気をつけようね」というフォローが大切だと育児書にもよく書かれています。

(感情的になってしまうと、実践は難しいですが…)

 

4.修飾語の並び3原則

1.「長い修飾語」は先、「短い修飾語」は後にする

[NG文]→秘密の長期的なプロジェクト

[OK文]→長期的な秘密のプロジェクト

 

2.「節」と先にして、「句」を後にする

「節」とは「1個以上の述語を含む複文」を指し、「句」とは「述語を含まない文節=文の最小単位」を指します。

[NG文]→誠実な、クライアントを大事にする会社を目指す。

[OK文]→クライアントを大事にする誠実な会社を目指す。

 

3.「重要度が高い」を先、「重要度が低い」を後にする

1や2の原則に従っても、違和感をぬぐえない文章が存在します。同じ言葉にかかる修飾語の内容(意味)に差があるケースです。

[NG文]→驚くほどの速さでお風呂の湯船の底へ落としたスマホが沈んでいった。

[OK文]→落としたスマホがお風呂の湯船の底へ驚くほどの速さで/沈んでいった。

「沈んでいった」にかかる3つの修飾語(驚くほどの速さで/お風呂の湯船の底へ/落としたスマホが)は、長さではなく、内容(意味)に差があります。重要度順に並べると、OK文のように「スマホ>湯船>速さ」となります。

今まで修飾語の並びを気にしていませんでした。この原則通りにすると分かりやすいですね。

 

5.ネガティブ言葉→ポジティブ言葉

  • あいつの図々しさには辟易するよ。ホントに身勝手。他人のことなんて、どうでもいいと思っているんだろうな。
  • あいつの図太さは見上げたものだよ。ホントに自由奔放。きっと自分を大切にしているんだろうな。

 実は、この2つは同じ人物に対する感想です。前者は「あいつ」をネガティブにとらえており、後者は「あいつ」をポジティブにとらえています。つまり「見方」が違うだけなのです。

(中略)

 世の中のモノ・事象・人に、良し悪しはありません。良し悪しを決めているのは、それらをジャッジする人間なのです。このことは、同じ人を「身勝手」とも「自由奔放」とも言い換えられることからもあきらかです。

 つまり、何かに対してネガティブな感情を抱いたとき、「ほかの言葉で言い換えられないかな?」と考えることが大事なのです。

 「良し悪しを決めているのは、それらをジャッジする人間」という言葉がとても響きました。まさにその通りです。

感情を変えるのは難しいですが、言葉の言い換えはできそうですね。

 

まとめ

この本を一言で表すと「言いたいことを正確に伝える文章を書くノウハウ本」といえるのではないでしょうか。

この本に書かれていることを既にやっている方には必要のない本ですが、私には勉強になる部分が多くありました。学んだノウハウを元に、より分かりやすい文章を書くように心がけます。

本書はこちらです。

 

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