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「文章は接続詞で決まる」石黒圭著 を読んで。よく使う接続詞で隠れた性格もわかる

文章 by photoAC

 

日常生活の中で、例えば本・新聞・ネット・ブログ等の文章を読む機会は多いですよね。その時に、文章中の接続詞をどのくらい意識されていますか?

文章を書く機会が多い方は、読者が読みやすい文にするために接続詞を意識することも多いのではないでしょうか。

今回、接続詞に関するこちらの本を読みました。

 

著者について

石黒圭(いしぐろ けい) 注:男性です

国立国語研究所 日本語教育研究・情報センター教授。一橋大学大学院 言語社会研究科連携教授。

サイトはこちらです→石黒圭研究室

 

本の概要

ジャンルにもよりますが日本語の文章で接続詞が使われる頻度は、平均すると10%台だそうです。割合としては少ないですが、文章を読む上で接続詞は重要な働きをしていますよね。

本書は接続詞とは何か・その役割の説明から始まり、「しかし」「たとえば」など1つ1つの接続詞の解説が全体の半分ほど続きます。最後に、接続詞のさじ加減・戦略的使用・表現効果などの使用方法が載っています。

 

接続詞の解説部分は例文が多く、まるで教科書を読んでいるかのように詳しく書かれていました。しかし私には少々難しいと感じました。後半の「話し言葉の接続詞」の章から読み始めるのもおススメです。

 

心に響いた3つのポイント

  1. 接続詞で読みやすさをアップ
  2. よく使う接続詞で隠れた性格がわかる
  3. 接続詞の弊害、書き手の解釈を押しつける

順にご紹介します。

 

接続詞で読みやすさをアップ

レポート by photoAC

接続詞は文章の構造を分かりやすくする働きがあり、適切に使うことで読みやすさがアップします。 

 

接続詞による範囲の傾向

接続詞が文章中のどの範囲を結びつけるかを知ることで、文の構造が分かりやすくなります。

接続詞、範囲指定機能
  • 「あるいは」→短い文脈どうしを結ぶ
  • 「たとえば」→短い文脈と長めの文脈を結ぶ
  • 「ようするに」→長い文脈と短い文脈を結ぶ
  • 「一方」→長いものどうしを結ぶ

 

文章の構造を整理

接続詞は段落の冒頭につけられ、文章の階層を示す働きもあります。 

接続詞、階層の例

 

パソコンでの分かりやすい例えが載っていました。

  • 文章 → ファイルの中身
  • 接続詞 → ファイル名
  • 段落 → フォルダ

 

上記2つの図を頭に入れておくと読者にとって読みやすい文章が書けそうですね。

これから意識していきたいです。  

 

よく使う接続詞で隠れた性格がわかる

顔隠し by photoAC

対話でどのような接続詞を選ぶかは、人によってかなり違います。周囲の人がどのような接続詞を好んで使うかを観察することで、その人の性格を占うことも不可能ではありません。その人のよく使う接続詞がわかれば、その人の隠れた性格もわかるのです

この部分を読み、ドキリとしました。よく使う接続詞から隠れた性格がわかるとは驚きです。

 

接続詞から考えられる印象です。

  • 「てか」→ すぐ新しい話題に移りたがる、飽きっぽい、機転が利く
  • 「ようするに」→ 結論を急ぎたがるせっかち、話の本質を的確にとらえる
  • 「でも」→ 他人の意見を素直に受け入れにくい頑固な人、慎重に考える
  • 「だから」→ 自分の主張を押したがる、面倒見がよい、世話好き
  • 「だって」 → 言い訳が癖になっている、自己防衛本能が高い

いかがでしょうか。何となく当てはまる感じがしませんか?

ちなみに私は言うことを聞かずに失敗した小1息子に対し、「だから言ったじゃん!」をよく言います(苦笑)

 

話し言葉の接続詞は感性重視が特徴です。計画的な構成意識に乏しく、即興的なノリで使われがちです。そのため、その選択に慎重さを欠く場合が多く、話し手の性格や感情が無意識のうちにダイレクトに伝わってしまいます。その一方で、書き言葉とは違って自分が使っている接続詞を目にする機会も少なく、知らず知らずのうちに口癖として定着してしまっているケースも少なくありません。

著者がよく使う接続詞を奥様に確認されたところ「つまり」だったそうです。うんちくを傾けたがるタイプという意味で、現在の教授という職業選択は間違っていなかったそうです。 

口癖は自分では気づきにくいもの。家族や親しい友人に聞いてみるのもいいですね。

 

書き手の解釈を押しつける

本書では接続詞をつけることによって起こる弊害が5つ紹介されており、このうち「書き手の解釈を押しつける」が印象的でした。

指さし by photoAC

 

「私は毎日懸命に練習して大会に臨んだ。二十人中四位になった。」

この文章には書き手の価値判断が含まれていませんが、「だから」と「しかし」を加えてみるとどうでしょうか。

  • 私は毎日懸命に練習して大会に臨んだ。だから、二十人中四位になった。
  • 私は毎日懸命に練習して大会に臨んだ。しかし、二十人中四位になった。 

「だから」のついているものは、期待通りの上位入賞であり、「しかし」のついているものは、優勝(または三位以内)を狙っていたけれども、それがかなわなくて残念だという書き手の主観が含まれています。

できるだけ事実だけを伝えたいときは、接続詞を入れないほうがよさそうですね。もし接続詞を使う時には、書き手と読み手が同じ意味で理解できるかをよく考えて使うことを意識したいです。

 

まとめ

この本を一言で言うと「接続詞の持つ意味と使い方を学ぶ基礎本」といえるのではないでしょうか。

まるで接続詞の教科書という印象でした。(日本語研究をされている教授の著書ですからね)

 

文章を書く時は、接続詞を上手く使って読者に分かりやすい文章を書いていきたいと思います。一方、読者として文章を読む時は、接続詞の働きを意識することで文章の理解度アップに役立ちそうです。

接続詞の重要性を再確認できた本でした。

 

 本書はこちらです。

 

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